実空間内の音手掛かりを用いた視聴覚リダイレクション
VR体験中のユーザに対して,HMD内の映像を視覚的に操作することによりユーザの歩行軌跡を気づかれずに誘導する,リダイレクテッドウォーキング (Redirected Walking: RDW) という手法がある.いくつかのRDWの研究では,VR空間の手がかりとして視覚以外に聴覚(VR空間内に存在するオブジェクトから発せられる音)も追加すること(視聴覚リダイレクション)が検討されてきたが,その効果は限定的であった.これに対し本研究では,VR空間内の音ではなく,現実空間から発せられる音(テレビの音,洗濯機の音など)がRDWの知覚に与える影響について検討する.実験の結果,実空間内のある位置に固定された音源を提示した場合,RDWの視覚操作がその音源に対する定位精度を低下させ,結果としてRDWの効果を向上させる(視覚操作を気づかれにくくする)可能性が示された.
Publication
International
- Kumpei Ogawa, Kazuyuki Fujita, Shuichi Sakamoto, Kazuki Takashima, Yoshifumi Kitamura, Exploring Visual-Auditory Redirected Walking using Auditory Cues in Reality, IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics, Volume 30, Issue 8, pp. 5782-5794, August 2024. 10.1109/TVCG.2023.3309267