HandyGaze: スマートフォンのみを用いた6DoF視線トラッキング手法
視線はコンピュータへの入力手段としてよく利用されるが,現状では環境設置型や頭部着用型の専用デバイスが必要であり,導入障壁が高いという課題が存在していました.これに対し本研究では,広く普及しているスマートフォンを用いて,ルームスケール環境内でのユーザの6DoF視線トラッキングを可能とする手法を提案しています.
本手法では,スマートフォン内蔵の前面・背面カメラと深度センサを同時に用いています.前面カメラではスマートフォンに対するユーザの頭部方向を推定し,これをキャリブレーションにより(頭部)視線方向へと補正します.背面カメラと深度センサではルームスケール環境の3Dマップの復元とそのマップ上でのスマートフォンの自己位置推定を行い,スマートフォンの位置・姿勢を推定します.これらの推定結果を組み合わせることで.ユーザがスマートフォンを自然に把持するだけで,(視線入力の対象をスマートフォン背面カメラの画角に捉える必要なく)ルームスケール環境内でのユーザの3次元視線入力対象の推定が可能となります.
本手法の精度を明らかにするために,10人の参加者を対象として,スマートフォンを自然に把持したまま,環境内にある複数のターゲットを注視するタスクによるユーザスタディを行いました.その結果,推定された注視点の平均絶対角度誤差は8.2度,位置誤差は0.53mであり,例えば美術館・博物館における展示案内などのアプリケーションには十分に実用的な精度で利用可能であることを示しました.
Publications
International
- Takahiro Nagai, Kazuyuki Fujita, Kazuki Takashima, Yoshifumi Kitamura. HandyGaze: A Gaze Tracking Technique for Room-Scale Environments using a Single Smartphone, Proc. of the ACM on Human-Computer Interaction (ISS ’22), Vol. 6, Issue ISS, Article No. 562, pp 143–160, Nov. 2022. https://doi.org/10.1145/3567715
Domestic
- 永井崇大,藤田和之,高嶋和毅,北村喜文,スマートフォンのみを用いた周囲環境への視線入力インタフェースの検討,ヒューマンインタフェース学会研究報告集, 2021年6月.